この十年ほど、美容整形に対する社会全体の認識が大きく変化した時代はないでしょう。二十一世紀に入ってからというもの、もちろん医学・科学全般の驚くべき進化というものもありましたが、美容整形ほどその恩恵が大きく反映した分野もそうはありません。美容整形そのもののスタンスが変化したことを敏感に察知する社会が、美容整形に対する認識を大きく改めたのも、当然と言えば当然なのかもしれません。
事の始まりは形成外科などの分野で、再生医療に関する研究が大幅に進んだことがあります。これにはもちろん細胞分子生物学や遺伝子工学をはじめとした、様々な分野の複合的成果が関与していることは明らかですが、中でも最大の成果が医療分野にもたらされたことと無縁ではありません。美容皮膚科や美容整形はその中でも特に大きな恩恵を受けています。
肉体に負担を強いる強い薬や、大がかりな外科手術を経ずに、最大限の治療効果を上げる方法論というものが医学界全般の追求テーマとなってきた背景には、特に我が国の特殊事情である「少子高齢化」の拡大があります。これまでのような物理的治療、言い換えればやや強引ともとれる西洋医学の思想が、日本の迎えた実情にそぐわなくなってきたことが、こうした変化を医学界にもたらしました。それまでにも西洋医学と東洋医学をハイブリッドした「スローな医療」を模索するドクターは多くおりましたが、この傾向は近年特に顕著です。美容整形においてもその例にもれません。
美容整形のかたちを大きく変化させたのが、いわゆるプチ整形です。「切らずに治療する」「肉体的負担が少ない」「ダウンタイムが短い」「経済負担が軽い」「原状復帰が可能」など様々なメリットを備えた新しい美容整形として、近年脚光を浴びている技術体系全般を指す言葉ですが、方法論そのものは、実はかなり以前から存在していたものです。特にヒアルロン酸注射はこれまで、コラーゲン注射などの形で、小じわ解消技術として注目されていた治療が発展したものです。
二十一世紀になって、おそらくユーザーの間から「プチ整形」なる呼称が使われだし、これが正式な治療メニューの体系として認知されるに至り、特にティーンの利用者が増えたことで急速に美容整形が一般ユーザーに受け入れられる土壌を築いたと言えるでしょう。一方で美容整形そのものの技術も大きく発展し、近年はアンチエイジング治療の新しい切り札として、美容整形はより大きな注目を集める医療分野となっているのです。
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